A.再開発事業について

①東京都内で数多くの再開発事業が同時に行われているが、計画中の再開発事業の規模や内容を四半期等定期的な基準で適切に把握することができているのか。

②それらの再開発計画は、宮益坂再開発事業における競合になり得ると考えるが、オフィスや商業施設等の運営においてどの程度影響があると想定しているのか。

③他社が進める石神井公園駅前の再開発事業について、計画の見直しを求める訴えを地権者が起こしており、土地の明け渡しを停止する決定が先日、東京地方裁判所から出された。今後貴社がかかわる再開発事業において、地権者や周辺住民から裁判提起された場合にはどのような影響が出ることが考えられるか。

④近年の建設費高騰により、再開発事業の総事業費は上昇傾向にあると思われる。再開発において既存地権者の資産評価額は建設費高騰と比例せず、結果として既存地権者が新たに得る権利床は減少する事となる。既存地権者の権利床は生活に直結するものも多く、権利床減少により大きな打撃を受ける可能性があるが、こういった状況は再開発事案においてきちんと説明がなされているのか。


B.オフィス市況について

⑤貴社資料のグラフを見ると、コロナ渦以降の都心オフィスの空室率は上昇しその後高止まり、今なおコロナ渦以前の水準には回復していない。空室率の問題は日本国内に限らず全世界的なトレンドである(CBREによると世界のオフィス空室率は3月末に12.9%とリーマン危機後の09〜10年(13.1%)並みの水準にまで達している)が、貴社は現況をどのように捉えているのか。

⑥特に生産年齢人口が減少する日本においてオフィスの過剰な開発は、空室率の増加、賃料低下を招く可能性がありリスクが高いと考える。昨年竣工した麻布台ヒルズ等の他社大規模ビルはテナント付けに苦戦しているようだが、それでも尚オフィスビルの新設、再開発を強行する理由は何か。

⑦オフィスを中心としたビジネスの強みと事業の可能性をどのように考えているのか。

⑧貴社物件の空室率は平均と比較した際に低いようだが、何かしらの対策を取っているのか。 他社と具体的に差別化されている強みは何か。


C.風評被害について

⑨「令和の地上げ」をインターネットで検索すると、NHKの番組が記事化されたページ(https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4764/)がヒットし、記事内では悪質な地上げの手法が紹介されている。上場企業である貴社がこのような方法を取っていることは考えにくいが、地権者との対話が十分になされていないケースがあると同様になり得ると考えると不安を感じる。記事内にも記載があるが、再開発事業を行う場合、地権者や周辺住民と丁寧に合意を取りながら進める必要があると考えるが、貴社は地権者やその周辺住民に対して合意形成を図るようにどのような活動を行っているのか。理解を得られるような最大限の取り組みはされているのか。

⑩神宮外苑の再開発では地域住民等の反対が世界中のメディアを巻き込み大きな社会問題となっている。これは再開発事業者が「十分に説明をしている」と対外的に発信しながら、実態として十分な理解と同意が得られていない事を示しているのではないか。だとすると、貴社の開発案件においてもその様な潜在的リスクが存在する可能性は相応にあると考えられ、今一度地権者・地域住民への説明に時間を費やすべきではないのか。ここで言う説明とは再開発事案で一般的に行われてきた表面的な説明だけでは足らず、真に理解と同意を得るために、事業者にとって都合の良い点だけではなく地権者に不利益が生じうる点についても説明をすべきである。


D.準備組合の活動について

⑪貴社及び東急が宮益坂再開発事業において事業者として準備組合を実質運営していると把握をしている。 宮益坂再開発事業の事業計画(総工費、収益)は、2018年に開示されたのち、5年以上経過しているにもかかわらずアップデートされた計画が何ら開示をされていない。5年の間に東京オリンピックも開催されたしコロナという影響もあったこの5年で様々な事が大きく変化したが事業計画のアップデートをしないのか。

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